2010年04月08日

しただ鉈

 しただ鉈の特徴は、刃先がかぎ状に曲がり、いわゆる嘴鉈(箸鉈とも書きます。)と呼ばれる形状をしています。
 この嘴の部分を刃先の保護と言われる方もいらっしゃいますが、一番の目的は、伐った物を拾い上げたり、伐るべき枝を手繰り寄せたりする事に使います。
 そして、もう一つ特徴があります。
 
 いにしえより、ナタヅカと呼ばれる木があります。
 この木を柄にした鉈が、「しただ鉈」です。
 下田の山仕事をされる方は、みなさんこの木を知っておられます。
 正式名称は[ウワミズザクラ]通称では[アンニンゴ]とも呼ばれる木です。(あ、それなら・・と言う方もいらっしゃるかもしれません。)

 乾燥すると、軽く、極めて丈夫で折れにくく、衝撃を吸収する性質があります。それだけでも優れていますが、枝や根の基部が雪の重みでしょうか、適度に曲がり、ちょうど良い形状になります。
 更には、乾いても表皮が剥けず、滑り止めとしても良い味わいを出してくれます。

 このようなナタヅカですが、残念ながら大量生産に追われ、市販品ではまったく見ることができません。
 個人で加工され、付け替えて使っていらっしゃる方は結構居られます。

 私も趣味が高じて、暇があると山に行き、切り出し乾燥して結構な数を保管しておりましたが、このたび縁ありましてあの日野浦さんにも使って頂く事になりました。
 驚く事に、藤兵衛の柄をつけた日野浦さんの鉈は、なんとヨーロッパで売れまして、オーストリアのウイーンにもあるとの事。
 本当にびっくりしました。
 

 この写真の鉈も日野浦さんから打ってもらい、ナタヅカを装備したものです。
 刃は、それはものすごく、見ただけで切れそう!
 柄は、藤兵衛のオリジナルですが、しっくりと手に馴染みます。
 しただ鉈

 しただ鉈藤兵衛工房


同じカテゴリー(伝統・歴史)の記事画像
毎年恒例
河井継之助敗走ルート
消えゆく下田の古民具
今年もだんごいただきました
竿はかり
しただ鉈Ⅹ
同じカテゴリー(伝統・歴史)の記事
 毎年恒例 (2014-12-30 17:36)
 河井継之助敗走ルート (2014-05-18 23:33)
 消えゆく下田の古民具 (2014-03-21 10:53)
 今年もだんごいただきました (2014-02-17 10:51)
 竿はかり (2014-02-04 15:30)
 しただ鉈Ⅹ (2013-06-13 16:40)

Posted by しただ郷 at 17:36│Comments(6)伝統・歴史
この記事へのコメント
しただの鉈は世界に行っていたんですね…。すごい!!
どんな人が買われるんでしょうか?やっぱり山師?それ
とも木こりさん?
藤兵衛さんの鉈つかが世界中の山男たちの憧れのトップ
ブランドになれたら素敵でしょうね。
Posted by ひーちゃん at 2010年04月08日 22:23
ひーちゃんさん、コメントありがとうございます。
買われた方がどういう方かは判りませんが、ナチュラルな物に対するこだわりは、アチラの方のほうが強いのかもしれません。
ナタヅカに思わぬ可能性があることは解りました。

下田の山は、まだまだ面白い事がありそうです。
Posted by 藤兵衛 at 2010年04月09日 08:39
刃の付き方を見て、「左利き用の鉈かな?」という人がいました。確かに右利きの私の鉈は逆に刃が付いていました。
Posted by モリガメ at 2010年04月11日 15:09
モリガメさん。
お世話様です。
そう、おっしゃるとおり、左利き用の特注品でした。
鉈談議もおもしろいです。
Posted by しただ郷しただ郷 at 2010年04月12日 11:25
私が気付いたのではなく、若いころ関西までキコリ修行に行ってたっていう方の指摘でした。私の山仕事の先生の一人です。パット見て気が付くのはさすがだな。
しただにはいろんな名人がたくさんいて、その技や知識をうまく引き継いでいかないともったいないです。このブログで取り上げることもおおいに必要ですね。藤兵衛よろしくお願いいたします。
Posted by モリガメ at 2010年04月12日 12:36
いやいや~、こちらこそよろしくお願いしますね。
Posted by 藤兵衛 at 2010年04月12日 16:58
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。